運ばれて来た途端、
立ち上る香りで
既に「鼻腔が辛い」んです。
そんな食べ物があるだなんて。
カフェラボ主催イベント
珈琲文明の名物(迷物?)
「地獄のカレーパン」を
みんなで食べながら
この奇抜なメニューの
カフェ運営における
存在意義について
赤澤マスターのお話を
聞いてみようの会です。
全日本カレーパン協会
(そのような会があるとは)
の会長さんが召し上がり
「これまで何千と全国で
カレーパンを食べましたが、
間違いなく日本一辛いです。」
とお墨付きをくださったという代物。
珈琲文明に通うようになって
10年目のわたし
時折、赤澤マスターに
「そろそろ、食べといたほうが
いいんじゃないですかね?」
と誘われては
丁重にお断りしていたのですが
興味が無かったわけではなく
完食はおそらく確実に出来ないから
申し訳ないという思いがありました。
そこへ出現した今回の企画。
大勢でわーきゃー言いながら
シェアして食べるのなら
断然いけるんじゃないかと
喜んで参加したのです。
ところが、実物を目の前に
赤澤マスターの
「美味しいなんてものは追求してない、
とにかく、辛いということだけを
突き詰めたらこうなった。」
という前説を聞いたら
すっかり及び腰に。
このカレーパンは、よくある
中にルーを包んだふわふわ生地に
パン粉をつけて揚げたものではなく
ころんと丸いフランスパンの
上面をすこしスライスして
中をくりぬき、ルーをたっぷり
注いだものです。
まずはその上面を半分
ルーの中にどぼんとつけて
ひとくちでぱくり。
途端に、舌の根本を
ペンチでぎゅうぎゅうに
締め付けられたような痛みと
身体中の神経を走り抜ける
「緊急事態発生」の伝令。
何か感想を述べようにも
声帯が思うように動きません。
ただ、押し黙り、身悶えるという
最低のリアクション。
そんな自分にテンションだだ下がり。
完食目指すなら、お水は飲まないほうが
よろしいとのことですが
もうそんなのはどうでもよくて
何杯もおかわり。
その後しばらくしてから
もう一口食べてみたのですが
脳が「これは食べるのに適切でも
安全でもありません。」
と言うのでストップしました。
お隣のテーブルでは
三人で大格闘の末、完食。
「からだが、生まれ変わったようです。」
と全身から汗を吹き出しながら
おっしゃっていました。
この、地獄のカレーパンは
創業当時からあるメニューです。
「入店する時には、多少の緊張感を持って来てほしいが、
いったん座ったらリラックスしてもらいたい。
メニューをぱらぱらめくって、
なんか面白いことが書いてあるぞ、
と思ってもらうのが狙い。」
と、赤澤マスター。
もうひとつには、お店の宣伝の意味があります。
たとえばテレビの企画でアイドルが
悶絶しながら食べると、
全国からそのファンがやってきて
「彼と同じ苦しみを味わいたい。」と
注文するそうですし
(ファンってありがたいですね)
取材のオファーの約1/4が
このネタだとしても、
来店した有名人と記念に撮影したり
「○○に出ました。」と告知すれば
カレーパンに関わらず
「なんだか有名なカフェなのだな。」
と広域に知らしめることができるとのこと。
ギブアップする人より完食する人の方が多いけど、
リピーターは皆無に等しいため
リピーターの大切さを学ぶ機会にもなった
そうです。
確かに、一度は体験したいけど
もう二度目はいいかな、と思いました。
参加者の汗や涙が収まった頃に
文明ブレンドとケーキをいただきました。
赤澤マスターいわく
「珈琲に合うケーキといえば、
チョコレートケーキとチーズケーキが
ツートップ。」
ということで、
お菓子教室 横浜ミサリングファクトリー主宰でもある
松本先生の作ったガトーショコラです。
カフェラボならではの、夢のコラボにうっとり。
そしてなんと、このガトーショコラの
公開レッスン開催が決まりました。
10月16日(水)、上永谷の横浜ミサリングファクトリーにて。
詳細はまたお知らせします。
焼き上がりが割れたりへこんだりしない
美味しいガトーショコラの作り方は
一生ものの技術ですよ。
今日の楽しい夏の終わりのひとときを
ご一緒したみなさま、ありがとうございました。
(坂本 知香)