珈琲文明の定番人気ケーキは
クラシックショコラとチーズケーキ。
赤澤マスターのお手製です。
しかし
「ケーキを作ることはあまり好きではありません。」
と、マスター。
これ、かなり控えめな表現かと思います。
何しろ
「卵を白身と黄身とに分けるのがもうストレスで。」
と仰るのです。
やはり、趣味で楽しくケーキを作るのと
お仕事としてお客様に提供するケーキを作るのとでは
ものすごく格差がありますよね。
中でも一番違うのは
「商品としてのケーキは
一定の品質を保つ必要がある。」
ということです。
そのために必要なのは二つ。
「材料をきちんと揃えること」と
「温度管理」です。
ミサリングファクトリーに通いはじめの頃
ケーキを作るのに軍手や温度計、
ストップウォッチが準備されていることに
衝撃を覚えました。
でも材料の特性や
お菓子作りの理論がわかると
今度はよその教室に遊びに行って
「ボウルの底を触ってみて、
なんとなくあったかいと感じるくらい」
なんて説明を受けると
「ファジーだな」と
びっくりするようになりました。
特に「チョコレート」という素材は
温度にうんと気をつけないと
粒子の並びが壊れてしまいます。
一度そうなってしまったら
とてもじゃないが食べられたもんでは
ありません。
高温すぎてもだめ、
急激に上げ下げもだめ。
わがままなやつめ。
ガトーショコラはメレンゲの力で
膨らむのですが
チョコレートは重たいので
ちょうど良い仕上がりのメレンゲを
丁寧に均一に混ぜることで
割れたり凹んだりしない
美味しいケーキになります。
この、「ちょうど良い仕上がり」や
「丁寧に均一に」というところは
もう、目の前でやって見せてもらう以外
わからないんです。
松本先生のデモは
もう十数年拝見していますが
無駄のない的確な動作の流れは
眺めているだけでうっとりします。
今回は初めてご覧になる方向けに
あらゆる動作への説明があって
改めて「そうだったよね」と
気づくのでした。
デモのケーキが無事に
オーブンに入ったところで
試食&トーク会のためにサロンへ移動。
の、前に
赤澤マスターによる
「ペーパードリップ講座」。
豆を挽いてからの時間と
蒸らしの関係性など
知らなかったことが
まだまだある珈琲道です。
皆さん、くれぐれも、
豆を挽くのは飲む直前ですよ。
ミサリングファクトリーの
フランス菓子コースでは
代官山の製菓店
「イル・プルー・シュール・ラ・セーヌ」
のレシピを使ってお菓子を作っています。
そちらでのガトーショコラの配合と
今回の松本先生オリジナルレシピの配合とを
比較しながらのお話。
イル・プルで使うチョコレートは
フランスのペック社のものです。
カカオの配合の違う2種類を混ぜています。
今回使っている日本のメーカーのものとは
原価にして2倍以上の差。
他にも、イル・プルでは
サワークリームやカカオバターを
ほんの少量配合している所を
今回はそれを省略しています。
でも、ただ原価の安いものに変えたり
無くしたりでは、全体の味のバランスが
おかしなことになるので
そこは他の材料で調整するのです。
何を隠そう、今回のレシピ
何年か前に教わって以来
自宅で数え切れないほど
焼いている超お気に入り。
すぐに手に入る材料で
こんなに美味しい、というのが
ハマった理由です。
高価で高品質なものを
じゃぶじゃぶ使って作れば
それは美味しいものが
出来上がるに決まってるけど
それをカフェ運営でやってたら
とんでもないことになります。
今回のレシピのように
比較的手頃な価格で
手に入る素材を使えば
自分で作る方が
原価率を抑えられますが
当然、作るための
時間と労力(とストレス?)が
かかります。
珈琲文明には
シーズン毎に変わるケーキの
ラインナップもありますが
そちらは完成品を仕入れているので
原価率は高くなります。
赤澤マスターは、当初は
原価率に合わせて
自家製ケーキの値段を
安くしていたそうなのですが
だんだん生産が追いつかず
今回のメニュー大幅改定で
仕入れケーキより高い値段を
つけたそうなのですが
相変わらず根強いファンが多く
売れる頻度は変わらないとか。
そんなお話を聞いてから
改めてメニューを拝見すると
価格のつけ方に
赤澤マスターの
様々な意図があることに気付き
盛り上がる会場でした。
遠方からオンラインで
ご参加の方も交え
カフェ文化の違いや
カフェのあり方の多様性
などのお話をして
わたし(とわたしの家族)にとって
いつも変わらない佇まいで
珈琲文明がそこにあり
いつも変わらない笑顔で
赤澤マスターが迎えてくれることが
どれほどありがたいことかを
改めて感じました。
ご参加くださったみなさま
ありがとうございました。
(坂本 知香)